幕張メッセ ペデストリアンブリッジ

幕張メッセはⅠ期とⅡ期が幹線道路によって隔てられており、Ⅱ期完成の後、雨に濡れずに両施設間を直接行き来する連絡橋の要望があった。オープン20周年にこのペデストリアンブリッジが完成し、スムースな観客動線が確保され、両施設一体で総面積72,000㎡の展示スペースとなり、大規模イベントへの対応や多様な運営における可能性が一層強化された。Ⅰ期の「山並み」、Ⅱ期の「波」に対し、アイデンティティのある第三のイメージを加える事が意図され、メタル系の素材が支配的な周囲の景観の中で、色彩、素材感、形態が周囲と明快なコントラストを持つ様に、白いテフロンテント膜による、全長98mの長いボートを伏せた様な軽やかに浮かぶシャープなイメージとなっている。架構は、橋桁と、その上の屋根から構成され、橋桁は、PC板による道路上で橋桁下に必要な高さを確保するための滑らかな太鼓橋状の形状を、最大39mのスパンを含む4本のV字型RC柱が支持する。テント屋根の架構は、中での空間体験を重視し、風の捩れに抵抗するブレースをトラス面内に入れず、フレームの中にスリムな丸鋼材により立体的に構成した鉄骨フィーレンディールトラスである。歩行者がこのブリッジを渡るとき、光溢れる船底天井の空間に包み込まれ、対岸のハレの場への道のりへの期待感、高揚感をかきたてられる。また、ブリッジの下を一瞬に通り過ぎるドライバーにとっても、その印象的な姿により新都市のゲートに迎え入れられるものとなる。

所在地: 千葉県 千葉市 
完成年: 2009
用途: 渡り廊下, 公共歩廊
主要構造: 鉄骨造, プレキャストコンクリート造
敷地面積: Ⅰ期:173,191.47m², Ⅱ期:43,960.28m², 道路内仮想敷地:407.49m²
建築面積: 593.05m²
構造設計: 東京大学生産技術研究所 腰原研究室+桐野建築構造設計
設備設計: 総合設備計画
■ URL
http://www.m-messe.co.jp/
■ 掲載誌
新建築:2009.10
a+u:2012.7 臨時増刊